2016/01/23

第86冊 魔術師グルジェフの、探求と金策の日々『注目すべき人々との出会い』


注目すべき人々との出会い: G.I.グルジェフ



20世紀最大の神秘思想家とも言われる、魔術師
グルジェフの、自叙伝的な本。


自分に影響を与えた人々に焦点を当てて、自らの
探求の日々を振り返っているのですが、この本の凄い
ところは、その旅の苦労話の合間に、お金に困った話、
それをどのように克服したか、まで赤裸々に語っている点。


グルジェフが何十年もかけて旅をするにあたって、とにかく
行く先々でお金がかかるわけですが、彼は旅先で
スッカラカンになっても、全くめげません。


ニセ骨董品工房の技術を盗んでバザールで
一山当てたり、スズメに色塗って珍種の鳥と
偽って高値で売ったり(そして足がつく前に
逃げる)、もう手がないからと紙細工を
作って売ったり、蓄音器がまだ市民権を得ていない

エリアで、蓄音機で音楽を聞かせるビジネスを
始めたり……。


思索と探求の日々を支えるための経済的基盤を、
グルジェフは自らの才覚と行動力で常に新しく
創造し続けることができたわけです。


これが、「超努力」を是とするグルジェフの凄みであります。


部屋の鍵を複製して、持ち主に秘密でエジプトが砂漠に
なる以前の古代地図をこっそり複写したり、
日本の柔術と、フィズ・レス・ルーなる謎の武術を駆使して
人のケンカに割り込んだのが縁で、旅の仲間を得たり、と
ほんとうにこれは、ひとりの人間の人生に起こったことかと
呆れるほどの色々があり、全く飽きません。


神秘思想にはあまり興味ないんだけど、という方も、
一種の「働き方」を模索する本として読んでも面白いと
思います。オススメです。

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