■耐えられる痛みは痛みじゃない?
『足裏は語る』と『体癖』を読んだ
足裏の状態と体の関連を掘り下げてみたくなりました。
ということで、二冊ご紹介。
『症例別足もみ療法』と『足の反射療法』です。
『症例別足もみ療法』の著者、鈴木裕一郎先生は、
靴屋としてドイツのシューマイスターの資格を取得後、
前回紹介した『足裏は語る』の平沢弥一郎先生のもとで
足裏研究の「弟子」となったうえに、今度は中国で
「観趾法」なる足裏療法を学んで帰国した、まさに
足のスペシャリスト。
一方の『足の反射療法』は、プロ仕様の足裏施術の
方法を紹介した本で、近代の足裏療法の祖、米国の
イングハム女史(なぜか、この方は女史をつけて呼ばれる
ことが多い。慣例?)の流れをくむ、ドイツ式の足の
反射療法の本を翻訳したもの。
フットリフレクソロジーの店が至る所にある日本では慰安の
イメージが強く、「治療に用いるもの」というイメージは
あまりない、というのが実情でしょう。
……が、この両書では、かなーりの厄介な病気まで、
ひたすら足を揉み倒すことで治療しています。
『足の反射療法』では、
患者が耐えられる痛さになるまで揉む
という記述がさらりとなされていました。
ってことは、体が悪い場合、施術時間の多くは、
耐えられないような痛み……なわけです。
足ツボ療法は、実際に受けに行った人の話を聞く限り、
メチャクチャ痛いとか、いや気持ちいい程度
だったとか、店や術者、受け手の体調によって
色々な場合を聞きますが、おおむね痛い事自体が
一種のエンターテイメントのようにして
受け止められていることが面白い。
■なぜ足ツボ療法はかくも広まっているのか
曲がりなりにも手での治療をナリワイにしている身からすると、
治すのが目的ならばケチケチせずに、足裏以外も狙って
施術すればいいじゃない、とも思ってしまいますが、
短所と長所は背中合わせ……。
マッサージ師の国家資格を持たない人がリラクゼーションの仕事を
するにあたって選択するには、かなり気の利いた治療法なのでしょう。
なぜなら、足裏揉むだけでは、なかなか重篤な副作用や施術中の事故は
起きづらい(はず)なので。
また、反射区と体の関係が究極的には実証されていない以上、例えば、術後に
内臓の調子がおかしくなっても、術者は「でも足裏しか押してませんよ?」
と居直ることも、できなくはないわけです(どう思われるかはさておき)。
クレームをつけられる可能性が低い手法である、ということは、
経営する、という観点から言えばかなり重要なことですよね。
■セルフケア法のひとつ
あと、足裏療法の何がいいって、自分で自分に出来る事です。
『足の反射療法』は足裏を使った治療法がまだまだ市民権を
得ていない頃に書かれた本であるせいか、自分での施術を
あまり勧めていませんが、『症例別足もみ療法』ではむしろ逆。
自己治療をとことん推奨しております。
……まあ、鈴木先生は治療そのものは生業ではないですから、
そう書けるのかもしれません。
反射区がそこまで人の体の全体を反映しているのか?という
疑問は相変わらずですが、理屈が正しかろうが誤っていようが、
実際にそれなりの効果を実感できている人が少なからずいるのは
間違いなさそうなので、しばらく自分の体で実験してみようと
思います。
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